中央電子は、「CECプライベート展2024」を、東京・八王子市の営業センターショールームで開催した。今回は「つないだ社会イノベーションが未来を変える!」をテーマに、近年注目と期待度が高まっているエッジAIとその関連技術の現場実装について、社内外で実践した事例紹介を中心に紹介した。
同社は「研究開発型製造業」として、クラウド・AI・IoTなどを活用し、計測制御・セキュリティ・ネットワークを中心とする分野で製品の開発から製造・販売を行っている。高い技術力・開発力は、半導体製造装置メーカーや自動車メーカー、FA機器メーカー、通信機器メーカーなど産業界はもちろん、理化学研究所や各種大学など研究機関のパートナーとして厚い信頼を得ている。
展示は、商品事業と受託事業、新規技術開拓の3つのエリアに分けて展開。
商品事業の展示エリアでは、はじめにネットワーク対応環境監視装置「DTシリーズ」を使った同社の本社工場におけるカーボンニュートラルへの取り組みを紹介。太陽光発電システムの電力量モニタリングに加え、今年は新たに屋内環境の変化に応じた照明や空調の自動制御を後付けで導入し、自社製品でビルオートメーションを実現した事例を紹介した。
続いてスマートファクトリーゾーンとして、DTシリーズをベースに、入退室管理や作業管理といった作業員の個人認証システムと工場内の各装置を連携させ、人の作業データの収集と管理をはじめ、権限のある人以外は機械の操作ができない仕組みや電源の切り忘れのアラートなど、データを活用した人の作業効率と安全性、トレーサビリティの実現を提案。
また信州大学との共同開発による柔軟センサとAIを組み合わせた人の動きの分析とそれを活用した技術承継の提案、複数のAIを使うことによる保全現場での各作業員の装備品の装着確認など、エッジAIの実用例をアピールした。
そのほかAIブームで重要性が増すデータセンターにおけるAIサーバーの安定稼働に向けて、水冷式冷却と空調制御を組み合わせた強力な冷却性能を持つサーバーラックと、そこで培った水冷技術を応用した各種冷却装置、医療機器や計測機器など超精密機器に振動を与えずに移動できるカートなど、ユニーク且つ超ハイエンド領域で求められる製品・技術を紹介した。
受託開発事業の展示エリアでは、カメラ画像をEtherCATで制御装置とリアルタイム通信して振り子を倒立させて維持する「倒立振子フィードバック制御」のデモをはじめ、養殖場の海上生け簀でのエッジAI技術を活用した魚の尾数カウント装置などを展示した。
開発成果発表では、エッジAIのさらなる展開に向け「リザバーコンピューティング」と呼ばれるAIの高速学習に寄与する技術開発の紹介、オープンソースCPUである「RISC-V」のカスタム命令、電磁波によるワイヤレス給電技術の紹介も行われ、同社の技術力を示した。