リタールとEplanは、11月5日から10日まで東京ビッグサイトで行われたJIMTOF2024に出展。工作機械における制御盤について、データを活用した設計・製造連携を提案し、人手不足や生産性向上の道筋を示した。JIMTOFでの出展内容を紹介する。
データ連携を軸としたバリューチェーンを紹介
今回のJIMTOFでは、Friedhelm Lohグループの兄弟会社であるリタールとEplanで共同出展し、データ連携を軸としたバリューチェーンによって制御盤の設計・製造における生産性向上が実現できることを体験できるようなブース設計となっていた。
電気CADを使った設計の効率化を提案
スタートは「ENGINEERINGー設計ー」として、Eplanの電気設計CADをはじめ各種ソフトウェアや配線ツールによる設計の効率化手法を紹介。
電気設計CADの「Eplan Electric P8」や盤内設計の「Eplan Pro Panel」などの使い方をはじめ、それらで作成した設計データをもとにして、いかに設計・製造を連携させて効率化していくかについて、実際のソフトウェアの操作感を体験しながら、制御盤の設計や製造にまつわる悩みごとやお困りごとを気軽に相談できるようにした。最近は制御盤の設計・製造連携、組み立て作業の自働化・効率化などが本格的にはじまり、そうした感度の高い人たちが多く相談に訪れていた。
データ連携によって組み立てや配線作業を自動化
次が「PANEL BUILDINGー盤製作ー」のエリアとなり、前のENGINEERINGー設計ーで作成したデータをベースに、設計から加工、組み立て、配線までの制御盤の製造工程をデータでつなげ、各工程の効率化と全体の生産性向上の手法を提案した。
ブースでは、熟練技術が必要とされる制御盤の最適な配線経路の策定と配線作業について、Eplanの配線設計・作業支援ソフト「Smartwiring」を使い、画面に表示される3Dレイアウト図での配線経路を見ながら作業指示通りに制御盤の配線を行う体験デモを実施。考えたり、迷ったりすることなくスムーズに作業ができ、作業体験をした人や周りで見ていた人からは「画面の通りにやればいいだけだから確かに簡単だ」「紙の図面を見なくていいから便利」「情報が詳しいから良い」などの声が聞こえた。
また電線加工や箱の穴あけや切断の追い加工など他の作業工程についても、全自動電線加工機「WTワイヤーターミナル」や全自動加工機「Perforex」などRittal Automation Systemsの各種作業支援システムを紹介し、設計データと加工機械を連携させた自動化提案も実施した。
実際の機械は大型なのでブースには持ち込めなかったが、2024年9月に神奈川県小田原プロダクトサポートセンター内に開設した「リタール アプリケーションセンター」での実機デモの様子などを紹介。盤製造に特化した加工機と自動化ソリューションということで関心度は高く、アプリケーションセンターは多くの日程が見学の予定で埋まり、会場でも多くの予約を受け付けていた。
新型エンクロージャーVX25、RiLineXなど新製品を紹介
「The Systemー主要製品ー」として、国際規格に対応したエンクロージャーや盤内の温度管理を最適化する盤用クーラー、操作しやすい位置に操作盤を持ってこられるサポートアームなど同社が取り扱う主要製品を紹介。
今回の目玉は、2025年1月に日本でも販売予定の新たな自立型エンクロージャー「VX25」。同社の特徴であるフレーム構造をさらに進化させ、高強度・高密閉で保護等級もIP55に準拠し、より頑丈で使いやすさを向上している。
例えば、盤の高密度化が進む中でフレームの設計を見直し、数mm単位でも内部空間が広がり、ギリギリまで使えるようになった。これまで縦と横のフレームは種類が異なり、穴のピッチや形状等も違っていたが、それを25mmに統一したことでフレームが組み易くなり、さまざまな構成の広がりが増した。ピッチの統一によりアクセサリの種類も統合したことで減らすことができ、在庫や保管の手間も半分に削減可能とした。
フレーム構造では側面パネルを取り外すことができ、横に長く連結して簡単に拡張可能。連結時のシーリングも簡単に行えるようになっている。
また新サービスとして、個別の制御盤の情報をまとめて置いておけるクラウドサービス「Rittal ePocket」も紹介。制御盤のなかに設計図面や各種マニュアルなど紙の文章・ドキュメント等をまとめて保管しているものと同じものをデジタル上でサービスを提供。制御盤の製品銘板内のQRコードを読み取ると電気図面や機械図面、部品表などをスマートフォンで入手して見ることができるようになっている。
さらに今後発売する新技術・製品として「RiLineX」を展示・提案。RiLineXは、盤内で電力供給を行う銅バーを安全保護兼嵌合用カバーで覆ったバスバーシステムで、ブレーカーなどの盤用機器を安全かつ簡単に取り付け/取り外しができるというもの。組み立てや保守保全の人手不足が進むなかで、誰でも安全に作業ができ、効率的であることから、多くの注目を集めた。