
東洋紡は、宇都宮工場(栃木県宇都宮市)内に積層セラミックコンデンサ(セラコン)用離型フィルムの製造設備を新設した。2025年春頃の商用生産開始を目指す。
セラコンは、電流の調整や電気の一時的な蓄積のための汎用的な電子部品として、さまざまな電子回路に搭載されている。人工知能(AI)の開発や運用に必要なサーバーやデータセンターなどの高性能IT機器の普及、スマートフォンの高機能化、電装化・自動運転といった自動車産業などの発展を受けて需要がますます拡大している。
それに対し同社は2021年に宇都宮工場に離型フィルム設備の新設を決定し、このほど新設備が完成した。
新設備では、セラコンの製造工程に不可欠な離型フィルムを製造する。製膜した原反PETフィルムに別途コーティング処理を行うことで優れた平滑性を実現するオフラインコーティングと、製膜工程においてコーティング層を形成し原反から離型フィルムまでを一貫生産することで生産効率を高めたインラインコーティングの両方の生産方式に対応が可能。ミドルからハイエンド品まで幅広い顧客のニーズに柔軟に対応できる生産体制の構築を図る。また環境負荷の低減を目指し、使用済みの離型フィルムをリサイクル原料として再利用する取り組みも推進していく。
延床面積は約16,000平方メートル。鉄骨造6階建。投資額は約200億円(インフラ整備など含む)。