先日、セミコン・ジャパンが東京ビッグサイトで行われ、盛況裡のうちに閉幕した。現在、半導体市場は回復途上にあるが、新工場や国産化などの話題性もあって業界内外から多くの人が来場したようだ。一方で、実機展示がないブースが多く、来場者が肩透かしを食ったと指摘をする報道もあった。展示会なのに実機を出さないケースがたまにあるようだ。
そこで思い出すのが前回のIIFES2022だ。当時、多くのメーカーがソリューションに注力しており、展示物はソフトやシステムを提案するパネルや映像が中心だった。来場者に聞くと、「コンポーネンツの展示が少なく、面白くなかった」「普段使っている製品の新しいやつが見たかったのに」「ソフトの話を聞いてもピンと来ない」など、厳しい意見が多かった。メーカーの売りたいものと、来場者が見たいものと買いたいものに乖離とミスマッチが感じられ、当時それについてこの記事で指摘したところ、多方面から大きな反響をいただいた。(灯台特別編 もう一度、IIFESを考える IIFESリアル展閉幕 来場者数は4万2346人に 日本の製造業を支えるFA専門展はこのままでいいのか?)
WEBやカタログで製品を調べ、学ぶのは、言ってしまえば「自習」だ。それに対し展示会は、実物を見て、触り、技術者と会話して学ぶ。かつ会場に行き、ブースを回り、帰るという五感をフル活用する「体験学習」だ。展示会に行くことによって、単なる情報だけではなく、経験も手に入れることができる。せっかく展示会に来ても、パネルや映像展示を見せられるのでは自習と変わらない。出展社には、顧客が来るべき価値・理由を作ることが求められる。
来年11月にはIIFES2025の開催が予定されている。噂によると、前回の反省を踏まえ、コンポーネンツを多く展示し、それを話のタネとして来場者と積極的にコミュニケーションして課題を引き出し、自社の提案に繋げていきたいというメーカーが増えているという。とても歓迎すべき動きだ。展示会は、兎にも角にも来てもらって、楽しんでもらわないと意味がない。あと1年、盛り上げるために頑張っていこう!