【2025年 年頭所感】一般社団法人 日本工作機器工業会 会長 寺町 彰博「リスクテイク」を後押し

あけましておめでとうございます。

年頭に際し、所見を述べさせていただきます。

昨年の世界経済は、ウクライナや中東情勢をはじめとする地政学リスクの高まり、インフレの進行、そして不動産不況などに揺れる中国経済の低迷など、多くの懸念材料がある中で、先行きに対する不透明感がさらに増すこととなりました。日本においては元日に能登半島地震が発生し、そこから復興途上にあった能登地方を記録的な豪雨が襲い甚大な被害に見舞われました。

一方、夏にはパリオリンピック・パラリンピックが開催され、パリオリンピックでは日本勢が海外開催としては過去最多となるメダルを獲得し、米国MLBにおいては、大谷翔平選手をはじめとする日本人選手が活躍するなど、多くの人々に勇気と感動がもたらされた年でもありました。

当工業会に関連する動きを見ると、半導体関連においては需要の牽引役が多様化する中で、生成AIなどの新たな成長ドライバーや自国生産拡大の動きなどを背景に今後も大きな拡大が見込まれます。さらに先進国を中心とする自働化・ロボット化の進展、自動車業界における環境対応車へのシフトや再生可能エネルギー関連の投資の拡大など、私たちのビジネスチャンスは大きな広がりを見せています。

そのような中、私たちがこれらのチャンスをしっかりと掴み、大きな成長を成し遂げるには「積極果敢なリスクテイク」が必要だと感じています。日本は高度成長期において、どちらかというとリスクヘッジよりリスクテイクによって成長してきたといえるでしょう。しかしながら、その後のバブル崩壊により財務の健全性がより重視される中、企業はリスクヘッジへと走り、リーマン・ショックでさらにその傾向に拍車がかかったと思われます。その過度な慎重さの表れとして、これまでの当工業会に関連する需要の拡大期には欧米や中国が先行し、日本が追いつく頃には需要のピークを迎えてしまっているように感じます。さらに、日本において今まさに人手不足が深刻化しているにも関わらずロボットの販売が振るいません。

しかしながら、日本において産官学が一体となってこのテーマに真摯に取り組み、再びリスクテイクを積極化させることができれば、必ずや私たちはグローバル競争の中で打ち勝ち、世界の製造業をリードしていくことができるものと考えております。

 従いまして、このように環境が激変する中で、当工業会といたしましても、会員の皆様と強い信念を共有するとともに、各社の積極果敢なリスクテイクを後押しできるような工業会となるべく引き続き尽力してまいりたいと存じます。

結びになりますが、会員企業様の益々のご発展と皆様のご健勝とご多幸を心より祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。

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