新しいモノづくりの考え方 【第12回】これからの日本式デジタル化⑪

日本の製造業が取るべきデジタル化について書いてまいりましたが、ここで閑話休題。この一年で私が自分でやってみたデジタル化についてお話ししてみたいと思います。

私がデジタル化を意識し始めたのは、以前にもお話ししましたが、昨年4月に緊急事態宣言が発令され工場に伺うことができなくなり、有り余る時間をどう使うか?と考えたところから始まります。

最初は自宅のWi-Fi環境を整えるところから始め、パソコンとプリンターをWi-Fiでつなぐという極めて普通のことを行いました。アナログ人間の私はデジタルというだけで何かプレッシャーを感じてしまっていたのですが、覚悟を決めてやってみると結構できるものだということを発見できました。その後、一念発起して『柿内幸夫の現場改善研究所』というYouTubeチャンネルを立ち上げたことは以前にお伝えした通りです。それまで私はYouTube などのSNSにはほとんど無関心であったのですが、自分でやり始めることで、世界がこのSNSを中心に変わっていく真っ最中であると気付きました。危なく気づかないままに置いて行かれるところでした(汗)。

そこから始まってこの一年で手にした新しいデジタル商品をご紹介します。モノづくりのIT化を進めましょうと言っている私には、新しいモノやサービスを積極的に使ってみることで、カイゼンに使えるものを見つけたいという希望があるのです。

まずはサブスクという新しいシステムを理解したいと思い、ネットフリックスやAmazonプライムで動画を見始めました。それまではビデオ屋さんで借りて来たDVDを見ていましたが、今では全く使わなくなりました。圧倒的に便利だからです。次いで若い人は服もサブスクで入手するということを聞き、ファッションのサブスクもやってみました。しばらくの間、細身の服装で街を歩き、家族からも評価を受けたのですが、ファッションに興味がない私にはその良さがついに分からず、これは半年で終了しました。今は元通りのダサいおじさんに戻っています。しかしながら、これからB to Cを始めてみたい企業には1つの新しい形として普及していくツールであるということを学ぶことができました。

それから、パソコンを買い替えました。これまで使っていた古いパソコンは頑張ればもう少し使えたのですが、Zoom 会議、テレワーク、カメラを使ったコンサルティングなどの新しい使い方が増える中で、先方の状況が綺麗に見える、私自身のカメラ映りが良くなるという期待(笑)もあって思い切りました。また、この辺の機能はよくわかっていなかったのですが、動画などのデータを送る際の処理速度も抜群に向上しました。

そして、スマホを買い替えました。ずっとAndroidスマホを使って慣れていたので、今までであれば考えずにAndroidスマホを買ったはずでしたが、今回は思い切ってiphoneに変更しました。若い人の7割がiphoneを使っているということを聞き、デジタルネイティブの彼らの考えや行動について体験を通じて理解したくなったのです。そしてこれまではDocomoでしたが、ショップに行かずすべてネットで買うというAhamoというチャレンジをして無事にスマホ交換に成功しました。これで電話代はかなり節約できるはずです。すべてをネットで行うということは一人では怖くてとてもやれなかったと思いますが、若い世代の人たちのサポートをもらいながらチャレンジしたらできました。これも気づきなのですが、デジタルは決して簡単ではないけれど、覚悟を決めて準備をすれば、特別な専門家がいなくても結構できるものでもあるようです。

本当に小さなことばかりですが、やらなければ何も気づかずにいたと思います。デジタル化は絶対に避けられない変化だと思います。相変わらず若い人たちの援助は必要ですが、自分でも少しずつ頑張ることも必要だと痛感しています。

これからの時代、マーケットも製品もすべてが過去にないスピードで変化し進化をしていきます。そしてカイゼンのやり方も同様に進歩向上が求められます。そのためには私も挑戦を続け進化していかないと、新しい時代のカイゼンには役に立たなくなってしまいます。皆様にとっても何かのお役に立てればと思い、今回は私の話をさせて戴きました。

■プロフィール

柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。
経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長改善コンサルタント、工学博士技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授
著書「カイゼン4.0-スタンフォード発企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所<101項>」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など

一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
■詳細・入会はこちら

https://www.kaizenproject.jp

オートメーション新聞は、1976年の発行開始以来、45年超にわたって製造業界で働く人々を応援してきたものづくり業界専門メディアです。工場や製造現場、生産設備におけるFAや自動化、ロボットや制御技術・製品のトピックスを中心に、IoTやスマートファクトリー、製造業DX等に関する情報を発信しています。新聞とPDF電子版は月3回の発行、WEBとTwitterは随時更新しています。

購読料は、法人企業向けは年間3万円(税抜)、個人向けは年間6000円(税抜)。個人プランの場合、月額500円で定期的に業界の情報を手に入れることができます。ぜひご検討ください。

オートメーション新聞/ものづくり.jp Twitterでは、最新ニュースのほか、展示会レポートや日々の取材こぼれ話などをお届けしています
>FA・自動化、デジタル化、製造業の今をお届けする ものづくり業界専門メディア「オートメーション新聞」

FA・自動化、デジタル化、製造業の今をお届けする ものづくり業界専門メディア「オートメーション新聞」

オートメーション新聞は、45年以上の歴史を持つ製造業・ものづくり業界の専門メディアです。製造業DXやデジタル化、FA・自動化、スマートファクトリーに向けた動きなど、製造業各社と市場の動きをお伝えします。年間購読は、個人向けプラン6600円、法人向けプラン3万3000円

CTR IMG