新しいモノづくりの考え方 【第14回】これからの日本式デジタル化⑬

デジタル化のメリットはたくさんありますが、そのうちの一つに速度感の向上があります。伝わるスピードも広がるスピードもそして結論が出るスピードもすべてが速くなるのです。今回はスマホのチャットという身近な題材を使って速度感にかかわるデジタル化のお話しをいたします。

最近ではほとんどの方が日常的にスマホのチャットツールを使用しておられると思います。例えばLineです。ご家族や友人とのコミュニケーションにはとても便利です。デジタルは苦手とおっしゃる高齢の方であってもLineは上手に使っておられる方が多いようです。Lineの前はどうしていたんだろう…?と考えてもなかなか思い出せないほど定着しています。記憶を辿ってみましたが、電話番号を使ったショートメールか、アドレスを入れて送るメールでありました。Lineのようなチャットツールが登場した今、その便利さにメールはとてもかなわないと思います。Lineを例にあげましたが、その他にもChatworkやSlackなどいろいろなチャットツールがあります。

メールもチャットもどちらもスマホやパソコンを使って情報交換をするので似たようなものに思えます。しかしその2つは全く違うものであるのです。もし突然に「メールとチャットはどう違うのでしょうか?」と質問されたら、パッとは答えられないかもしれません。しかしメールを「手紙」、そしてチャットを「会話」と日本語に直して、「手紙と会話はどう違うのでしょうか?」と聞かれれば違いは明らかです。今の時代、仕事で手紙を使うのは外部との連絡で形式的な手順を踏むべきところだけであり、スピードが求められる日常の仕事では会話で仕事をするのが当然です。会話というと電話で話すことが一番速いようですが、相手が出られないと話せないし、出てもらうと仕事を中断させてしまうので最近はあまり使わないようになっています。そこで会話はチャットとなるのです。

ところがこれほど便利なチャットツールですが、会社ではまだあまり使われておらず、相変わらずメールが中心のようです。メールは長年の利用で慣れていますが、チャットと較べるととても使いにくいものであると思います。外部との連絡の場合は別としても、社内の会話にはチャットを使うことで大幅にスピードアップされ情報の共有が進みます。

例えば、営業の方はその日にあったことをグループチャットに書けば、全営業マンと情報が共有化できます。全員に伝言するのも簡単です。また記録が分かりやすく残るので、指示したことがうやむやになることもありません。読まれたかどうかも分かります。これだけで、部門内の情報共有化レベルが格段に進歩することがお分かりと思います。

身の回りにある少し頑張れば改善できるデジタルとしてチャットの活用についてお話ししました。まだまだたくさんのデジタルが身の回りにあります。世の中の変化において行かれないようにやればできる一歩を踏み出しましょう!

■プロフィール

柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。
経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長改善コンサルタント、工学博士技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授
著書「カイゼン4.0-スタンフォード発企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所<101項>」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など

一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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https://www.kaizenproject.jp

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