中庸に徹し、中庸で稼ぐ 日本の製造業に必要なのは「したたかさ」だ

自動車メーカーの統合協議や大手電機メーカーの組織の大変革、工作機械メーカーのM&A交渉など、日本の製造業界は今日も賑やかだ。さらに激しくなる競争のなか、勝ち筋を掴む、または生き残りのために活路を求めるのは当然のことで、何もせず停滞するよりよっぽど良い。盛者必衰は世の理だから仕方ないのだが、一抹の不安や寂しさを感じるのも正直なところだ。

日本は良くも悪くも「中庸」を尊ぶ文化からか、知らぬうちにその立ち位置も中庸にあることが多い。製造業でもそうだ。例えば、日本の製造業は素材や生産技術に強みを持ち、イノベーションの創出を技術で支え、かつそれが普及する暁には技術でもって実現する。自らはイノベーションを起こす側になることはあまりなく、かつ量産にも直接携わらない。その間に立ち、技術を提供する黒子の役割を果たす。その活動は地味で目立たず、大きな利益を獲得できるものではないが、技術が進歩していく、社会が発展していくためには絶対に必要な役割である。そこに強みを持つ国は決して多く存在せず、チャンスであり、死守すべきポイントなのだ。

世界中、特に米国と中国で自動車、半導体、AIや各種ソフトウェアの領域でイノベーションが生まれている。それに対し日本にはそうした動きが少ない、イノベーションが起きていないと悲観したり、疑問視する声もあるが、人に得手不得手があるように、その集合体が作り上げている国や文化にも得意な領域とそうでない領域がある。日本は歴史的に、既存のものを真似したり、手を加えて改良したりするのが得意だ。そうして技術を磨き、それをビジネスにしてのし上がってきた。だったらこれからもそれを磨けばいい。黒子に徹し、黒子で稼ぐ。中庸に徹し、中庸で稼ぐ。したたかに勝つことが重要だ。

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