運転免許を取得する際、教習所の指導員から「かもしれない運転」を心がけなさいと何度も言われた。公道では何が起きるか分からないから、常にトラブルやらなんやらが発生することを想定し、回避できるようにしておけ。当時は口うるさいと思ったりしたが、今では「かもしれない」を考えることはリスク回避の真理であり、その時の指導を感謝している。
つい先日も、突然まったくの想定外のトラブルに見舞われたが、最悪の事態は回避できそうな見込みが立った。トラブル自体はいつかは起きるものと思っていて、対処法はずっと考え、シミュレーションもしていたのが良かった。悲観的に物事を捉え、最悪の事態を常に頭に入れておけば、そこが基準となり、対処法はたくさん浮かんでくる。「かもしれない行動」は大胆さに欠け、スピードも下がる。しかし結果としてロバスト性は高まり、事業継続にもつながるのだ。
今は先行き不透明な時代だが、同時にチャレンジも求められる時代。そのなかでは自分に有利な情報を基に判断する「だろう行動」をしてしまいがちだ。しかし周囲の環境・状況や相手の情報は以前よりも入手しやすくなっている。その中で「だろう行動」をするのはリスクでしかない。楽観的な「だろう」、悲観的な「かもしれない」。この両方で起こりうることを想像し、多くの対処法を持っておく。そうすることでリスクを回避し、リターンを得られる。自ら思考し、想像を巡らすことができるのが人の最大の強みだ。あらゆる方向に想像力を働かせる。いま人に求められるのはそこだろう。
「だろう」+「かもしれない」人の想像力こそ最大の攻撃であり防御である
- 2025年2月26日
- コラム・論説
- 2025年2月26日号, 灯台
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