3月になり、寒さもやわらいできて春の訪れを感じる季節になった。いまだFA市場は本格回復とは言い難い状況が続いているが、環境は良くなる方へ向かっていることは間違いない。
思えば、この数年のFA市場は激しい乱高下に悩まされた。コロナ禍で従来通りの営業ができなくなって混乱した後には、部材不足や納期不安でモノの取り合いになり、表向きは大活況となった。しかし何年分かの受注の先取りの影響もあり、昨年度末から今年度は在庫過多の調整局面に入って受注が低迷。ここ5年間は毎年のように何かが起き、市場を揺らした。2025年にようやく落ち着くかと思ったら、今度はトランプ政権の発足により北米が揺れ、世界的にも先行きが分からなくなってきた。心穏やかに過ごせる日はいつになることやら。
この混沌とした市場環境のなか、やはり心の支えとなるのが、「FA・電機業界は将来有望な成長産業であること」だ。半導体やAIのように鋭角に急成長するものではないが、電気を作って使う電化の時代はまだ発展途上。電気を使う用途、場所はこれからも増え、広がっていくことは間違いない。電力に代わるエネルギーは出てきていない。太陽光も風力も水素も、利用するときは結局は電気に変換して使うことになる。また世界人口は増加していても、市場に出回る製品の多くは、人の手でなく、機械によって大量に作られる自動化・機械化の方向に進んでいる。風はFA・電機業界の後ろから吹いているのだ。
ただ日本国内、中小企業の足元を見ればまったく磐石ではない。国内市場は縮小傾向で、人手不足で事業規模を維持するのに精一杯。しかも近年は海外企業も力をつけ、競争相手は増えるばかり。状況は混沌とし、どう立ち振る舞うかの難易度は上がっている。とは言え、日本企業には技術と知見の蓄積があり、なによりお客様がいる。さらに言えば、世界で一番厳しい・難しいとされる日本市場で今まで生き抜いてきた猛者であり、鋭い爪と牙を持っているのだ。長い冬眠を終え、サクラサクを実現するのだ。