
オムロンは、高感度TOFレーザセンサ「E3AS-HFシリーズ」を発売した。
同製品は、6mの長距離から高精度にワークの有無検出ができ、「反射型光電センサは検出距離が短く、外乱光に弱い」「センサはワークに近づけて設置しなければならない」という反射型光電センサと製造装置やライン設計の常識を覆す、高感度TOFレーザを搭載した反射型光電センサ。
広く使われている反射型の光電センサは、ワーク表面が黒面や鏡面だったり、ワークと正面で相対しないと反射して戻ってくる光の量が足りず、検出精度が下がってしまうという課題があった。そのためセンサはできるだけワークに近いところに設置し、センサを優先して装置やラインを設計・構築する必要があり、そのため人やロボット等の配置や動線が犠牲になり、非効率な作業や設計難易度の高さを生む原因となっていた。
それに対し同製品はTOFレーザーによる光電センサで、光が反射して戻ってくる「量」ではなく、光が飛んで戻ってくる「時間」を計測して距離情報に変換するため、ワークの表面状態に関係なく有無検出が可能。レーザー1クラスの制限のなかでぎりぎりまで投光パワーを高め、従来素子の50倍の高感度受光素子を採用したことで、検出精度は5cmから6mまで、角度特性も最大±85°の広さを実現。ワーク正面はもちろん、±85°から投影して戻ってきたごく弱い光でも検知できるようになっている。

設定した距離と範囲にあるワークのみを検知するため、センサとワークの間に人やものが介在しても反応せず、誤検知を防止。そのため設置自由度が非常に高く、従来はNGとされていたワークやコンベアから離れた場所へのセンサ設置も可能。柔軟かつ自由な装置・ラインを作ることができる。
また、複数台のセンサを使用した際、他のセンサの光が入ってきた時の相互干渉を自動で防ぐ機能も搭載。従来はそれぞれのセンサに対し周波数の異なる設定を行わなければならなかったが、同製品は個別IDのようにシリアルナンバー1つずつに異なる周波数が割り当てられており、設定や調整が不要。投光周波数の発光パターンは6万5000通りあり、何十台使っても同一周波数になる可能性は限りなく低くなっている。それでいて、従来通り物理的に異なるチャンネル設定ができる機能も備えており、従来同様の使い方もでき、立ち上げやメンテナンスの効率化にも有効だ。
筐体はクロムメッキ処理を施したアルミダイカスト製で、軽量ながら衝撃や環境変化に強く、検出面は防汚コーティングで汚れや曇りを防止。さらにセンサが正常に稼働しているかが一目でわかるように底面に表示灯を搭載。日本語をはじめ、英語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語など5か国語の表示に対応するなど、使いやすさも向上している。
使用温度範囲はマイナス30℃〜50℃で、通常の装置やラインのほか、低温のコールドチェーンや冷凍庫内などでも使用可能。自動車の生産ラインでのワーク検出や判別、物流倉庫でのパレット検出、コンベア上のワーク検出などに最適となっている。