安川電機、トヨタ自動車のレース部門とアーク溶接の新技術「SFA工法」を開発 ロールゲージ溶接の熟練技術をロボットで自動化

安川電機は、トヨタ自動車のレース部門である「TOYOTA GAZOO Racing」と共同で、レース社長に取り付ける補強パーツのロールゲージの溶接作業をロボットで自動化する新技術「SFA工法」を開発した。
ロールゲージはドライバーを保護する補強パーツとしてレース車両には必ず取り付けなければいけないと定められており、1台あたり50本以上のパイプをアーク溶接でつなぎ、車体にも直接溶接してがっちりと固定している。最高峰クラスを走る車両では溶接のマイスターと呼ばれるトップの熟練技術者がこの作業を担当し、取り付けには1台あたり3週間の時間がかかるほどの丁寧さで行われる難易度の高い仕事となっていた。
しかしながらレースは一年を通じて世界中でさまざまなカテゴリが開催され、かつプロの最高峰クラスからアマチュアクラスまで存在する。トヨタではレース車両を幅広く提供しており、ロールゲージ需要が多い一方で、その製作ができる熟練技術者の数は限られていた。そこで両社は協力し、最高峰のマイスターが行っているロールゲージの溶接方法をロボットで再現できるようにし、かつ自動化で行える新工法を開発した。
新工法は「SFA(Sequence Freezing Arc-welding)工法」とされ、高入熱と低入熱を繰り返して溶着と凝固を繰り返して熱ひずみを抑えながらゆっくりと丁寧に溶接を進める形となっている。結果、幅は広く、低い余盛のビードが形成され、母材への溶け込みも深くなり、25%軽量化と溶接部の強度の10%アップを実現。またパイプ全周溶接に対応し、これまで難しかった横や下、斜め方向からの溶接も可能。またスポット溶接のような点での溶接や、幅広いビードのため2・3mmの隙間を埋める溶接などもできる工法となっている。
開発は、従来の産業用ロボットの常識である「タクトの速さ」を追求する考え方から180度転換し、マイスターの技術を再現することに重きを置き、「ゆっくり・丁寧」の考え方をベースとして開発。新たな挑戦として取り組み、実現にいたった。
今後、さまざまなカテゴリ・クラスのレース車両のロールゲージ製造へと展開する一方で、マイスターや技術者にはそこで空いたリソースをよりレース車両の品質・性能を高めたり、細かなチューニング等の対応などの人ならではの作業に充てられるようにしたいとしている。

https://toyotatimes.jp/toyota_news/1068.html#index01

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