令和の販売員心得 黒川想介 (133)コミュニケーションは情報 興味の琴線に触れるものを

営業が売り上げを持続的に右肩上がりにしていくには、4つの基本的な機能を果たさなければならない。そのなかでも1番重要と思われるのは「新規顧客を作る」機能である。新しい考え方やITのような新しい技術で製造工場は変わろうとしているのが令和である。したがって令和の新規顧客開拓とは新規マーケット開拓でもあるのだ。
仮に、顧客がITのような新しい技術を引き受けて、その組織に転属になった場合、販売員はその顧客と良好関係ができていれば、その後も付き合いを深め、その顧客からの相談や案件に取り組むことができる。そして徐々に新しい商品技術や用語を学び、新しい分野の商材に慣れることができる。しかし大半の企業は、従来のFA担当とは違う部門や違う担当者が新しいマーケット作りに取り組むのだ。
過去にも同じような事例はあった。人が機械を操作する生産から自動機械による生産に移った時、それまでは動力設備と受配電設備を担当していた電気技術者は、すべての人がFA技術を習得したわけではなく、動力と受配伝設備技術と新たにできた生産技術に分かれてそれぞれのマーケットを作るようになった。同じ工場内に別々のマーケットができたのである。
当時、工場に出入りしていた電気設備商品の販売員は、売り上げを上げるために新規顧客の開拓をする気概があった。しかし新しく生まれたFA需要を取り込んで売り上げを上げようとはしなかった。それはマーケット感性不足のためである。もし感性があったなら、FA技術に移動した技術者を追っていくか、FA技術部門を紹介してもらってFAマーケットへ進出することは可能だったがしなかった。
それに対し、その販売店営業の中で動力と受配電マーケットから染み出して生まれたFA分野にチャレンジしたのが、現在のFA販売店営業である。その販売店営業の新規顧客の開拓は、新しいマーケットの開拓であった。その時点のFA販売店営業にはチャレンジする気持ちが強かったことになる。
令和でも同じように、FA技術が担当するマーケットから染み出てくる新しいマーケットへ一歩踏み込んでいくチャレンジは必要である。そもそも新規顧客を作るにはコミュニケーションと情報に関する力量がいる。だから新しいマーケットへ入るのも同様である。
ある時、営業経験5、6年の販売員にコミュニケーションと情報について聞いてみた。「①顧客と実のあるコミニュケーションをしているか」「②情報は顧客に伝わっているか」「③情報をうまく入手しているか」を質問したところ、「コミュニケーションはうまいと思ってないが、スムーズな会話はできている」「新商品やアプリケーションの情報の紹介はきっちりできている」「案件や競合製品の使用情報 をそつなく入手しているので、情報力は劣ってない」との答えだった。
しかし実際に新しいマーケットへのチャレンジは、赤の他人同様の人との接触から始まる。上記のようなコミュニケーションへの理解や情報に関する認識で新規マーケットへ足を踏み入れるのは少々お粗末である。
赤の他人同様といっても、同じ製造業関係である。ものを作る工場の命題は「合理化」である。これまで工場の合理化の中心には機械の自動化があった。今後もハイレベルの機械の自動化は進んでいくにしても、大半の工場は機械の自動化は一服し、他の合理化に目を移すようになっている。そこに新しいマーケットができはじめている。
そこでは制御商品に興味があるかどうかは不明である。そこで何かしらの情報をダシにして、いろいろな情報集めなければならない。それにはコミュニケーションの巧みさが要るし、コミュニケーションを深める情報が必要になる。情報とは、新鮮さが感じられるもので、少しでも相手の興味の琴線に触れなければならないものである。だから商品情報とは限らないのだ。

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