
経済産業省は、中小規模の製造事業者向けに工場のセキュリティを確保するための具体的な手順や事例を紹介する解説書となる「工場セキュリティの重要性と始め方」を策定・公開した。全22ページのPDFにまとめられており、誰でも無料でダウンロードできるようになっている。
誰でも被害者になる可能性
工場のIoT化等にともなってサイバー攻撃のリスクが増加し、ネットワークの接続に乏しい工場でも踏み台として使われて取引先まで被害が波及するなど、サプライチェーンを介したサイバー攻撃のリスクが高まっている。規模を問わずどんな工場でも被害を受ける恐れがあり、自社のビジネス、信用はもちろん、製造業全体を守るためにも工場の規模を問わずサプライチェーンを構成するすべての企業でセキュリティ対策を施す必要が求められている。
専門的なガイドラインをより分かりやすく
これまで経産省は、こうした状況に対して2022年に工場システムのセキュリティ対策を実施する上で参考となるような考え方やステップを示した「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」をまとめ、2024年に【別冊:スマート化を進める上でのポイント】を策定し、製造業のサイバーセキュリティ対策の指針を示してきた。そして今回、製造業の経営層や工場のセキュリティ担当者を対象に、これまでのガイドラインをより分かりやすく解説した解説書として「工場セキュリティの重要性と始め方」をまとめ、公開した。

解説書は、初心者でも工場セキュリティの重要性や取組の始め方を理解できるように具体的な事例や手順を使って解説。
はじめに、工場セキュリティ対策をしなければいけない理由、サイバーセキュリティで製造業が脅かされている現状、工場の被害事例などを紹介し、コストをかけずに実施できるサイバーセキュリティ対策を紹介。続いて、工場セキュリティの担当者となる生産部門の担当者やIT・情報システム部門を対象として、どこの何をどう守るかを決定するために設備や機器を網羅的に把握することからはじめ、守るべき対象の決め方、ネットワークの分割とセキュリティ対策の仕方などの入口、基本的な考え方ややり方をやさしく解説している。
https://www.meti.go.jp/press/2025/04/20250411005/20250411005.html