美術品と工業製品 正反対のものづくりから学べるものは沢山ある

先日、独立系商社のサンセイテクノスの南大阪物流センター(堺市美原区)の見学に合わせ、併設のサンセイミュージアムを見せてもらった。同社が保有する彫刻や絵画、陶芸などの美術品、文化財のコレクションを見ることができ、中には人間国宝の作品も数多く展示されていた。その方面に疎く、久しぶりの美術館見学ではあったが、とても楽しむことができた。また業務中ということもあって、プライベートで訪れる美術館見学とは感覚が異なり、逆に新たな気づきがあって有意義な時間を過ごすことができた。


恥ずかしい話だが、私は美術や芸術の正しい見方を知らない。これまでは作品を何となく見ていたため、鑑賞後の感想は「綺麗だった」「迫力があった」といったようなありきたりな感想しか出すことができなかった。しかし今回は、業務の範囲内という感覚も働いたのか、はたまた丁寧な説明を受けながらだったためか、作品を前にした際に、どのような技術で作ったのか、どんな素材を使っているのかなど、作品になるまでのプロセスに興味が沸き、作っている姿や工程を想像してワクワクしっぱなしだった。こうした美術品は究極の一品一様のカスタムメイドであり、その価値の高さは圧倒的。これは今までに美術品や工芸品を見ても得られなかった新しい感覚であり、貴重な体験だった。


美術品も工業製品も、人が考え、人の手によって作られる。かたや観賞用として人を楽しませ、かたや日常使いのツールや何かの部品になって人の生活を支える。形や見た目、用途は違えど、いずれも根っこは同じ「ものづくり」。お互いから得られるものは沢山ある。特に美術品は、作者が自らの感性と体を使って1つのものを作り上げる。これは標準化や自動化で大量生産を進めるFAや製造業とは正反対だ。先行きが見通せない時代だからこそ原点回帰が重要。この週末は最寄りの美術館や博物館で、工業製品とは正反対のプロセスで作られた「原初のものづくり」に触れてみるのはいかがだろうか。

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