ミスミグループ本社は、米国子会社のMISUMI Investment USA Corporationを通じて、米国のカスタム機械部品のオンライン調達サービスを提供するFictiv社を約3.5億ドル(約501億円)で買収した。6月中に手続きを完了し、完全子会社化する予定。
Fictiv社は2013年設立で、米国製造業でカスタム機械部品のオンライン調達サービスを展開。米国・中国・インド・メキシコのグローバル4拠点、約400名の従業員を抱え、世界中に約250社の生産パートナーのネットワークを保有している。年々高い成長率で業績を上げており、2024年度の売上高は、前年度比41%増の7200万ドル(約102億円)となっている。
ミスミが提供している機械部品調達のAIプラットフォーム「meviy」と、Fictiv社のサービスは、表面上はいずれも機械部品のオンライン調達プラットフォームとなり、今回は同業の買収となる。しかし同じ機械部品と言っても、meviyのサービス展開はアジアに多くの顧客を持ち、対象部品は製造設備や産業機械など装置向け部品で、小さくて単純、低単価のものを対象としているのに対し、Fictiv社は、米国中心に顧客を持ち、対象製品は商品開発向けの部品が中心で、大きめで複雑形状、意匠も絡んで高単価のものとなり、両者は似通ってはいるが重複するところは少なく、逆に補完しあえる関係にあり、シナジーも効かせやすいというメリットがある。
今回の買収により、機械部品のオンライン調達で対応可能な部品・サービス範囲が拡大し、さらに市場・顧客層の拡大が期待される。
また、今後のデジタル成長戦略上、AIの進化が成長の鍵となり、そのためには、データを大量に集めて自社のAIの精度を高め、既存サービスの拡充と新規サービスを拡大し、既存顧客の利用頻度・率の増加と新規客の利用を獲得する「正の循環モデル」の実現が重要とされる。
今回の買収によってmeviyによるアジアの顧客と装置向け部品のデータに加え、Fictiv社の米国の顧客と商品向け部品のデータを得られる仕組みが整備されることとなり、AI成長のためのデータの獲得基盤が強化された。
ミスミ、米・Fictiv Inc.を約501億円で買収 機械部品のオンライン調達サービスを強化
- 2025年4月23日
- FA業界・企業トピックス
- 2025年4月23日号, Fictiv Inc., ミスミ
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