不二電機工業 八木達史 代表取締役社長
2024年度は、一部の顧客で在庫調整の局面が継続したため受注が伸びず、売上高は微増となった。物価上昇にともなう材料費やエネルギーの高騰によるコスト上昇、人への投資の増加によって減益となった。
コロナ禍以降の部品入手難を理由に先納期手配で積み上がっていた受注残をこなしたことや、スマートメーターを無停電で交換でき、現場の省エネ化・省人化に寄与する「無停電交換用コネクタ」など新製品の販売を拡大などが売上に貢献した。また産業機械向けの汎用制御機器が市場回復を受けて好調だった。変電所などのシステムのデジタル化に対応した製品開発も進んだ。
2025年は、短納期受注が徐々に増えて在庫調整局面の解消の兆しは現れているが、ここ数年は見通しづらい状況が継続している。顧客の多くは、昨今に生じた部品入手難から先納期手配へ移行していたが、今期に入って徐々に通常納期手配に戻しているという情報もあり、手配方針は過渡期を迎えているようだ。
新たな中期経営計画3ヵ年「新STEP50フェーズ1」が2025年1月期からスタートした。「利益拡大への取り組み推進」「働きがいのある職場環境の整備」「サステナブルへの取り組み推進」を重点項目に掲げ、事業の収益拡大のための既存の強みを追求するとともに、省力化、省人化に寄与する製品のラインナップ拡充と、デジタル化ニーズに対応する新製品開発に力を注ぐ。3月にはData Center Japan 2025(日本データセンター協会15周年記念イベント)への出展も予定し、デジタル化関連のニーズを掘り起こしていく。
また新規事業への挑戦として、外販用の装置製作と金型製作の2つの技術を基礎に、省力化・省人化のニーズの高い1次産業を含めた様々な産業へと展開していく。