東陽テクニカ 高野 俊也 代表取締役社長
2024年は、注力していた次世代電池やEV開発、水素など脱炭素関連とAD/ADAS開発など先進自動車開発の投資規模が大きく、その計測ニーズを取り込むことができ、過去最高の売上高 350.4億円を計上した。
機械制御/振動騒音事業はAD/ADAS開発向けのVILS分野の大型案件を国内外で計上し、物性/エネルギー事業でも国が脱炭素の研究開発を支援するグリーンイノベーション基金の追い風によって電気化学測定システムや電池の充放電測定システムが好調だった。VILS分野では、昨年子会社化したRototest社のハブダイナモメーターシステムが好調で、北米の自動車メーカーをはじめ国内外で受注が続いている。自社開発の「ドライビング&モーションテストシステム(DMTS)」も日本自動車研究所(JARI)に納入し、AD/ADAS開発設備として運用が始まっている。
今期は新中期経営計画の初年度として、自動運転やeVTOLに関する事業を主力とした「先進モビリティ」事業、次世代電池や水素に関連する「脱炭素/エネルギー」事業、国の予算が増加する「防衛」の3つを成長事業と位置付け、AD/ADAS開発や次世代電池の研究開発に独自の計測ソリューションを展開する。海外拠点を増やして海外市場の拡大にも注力する。
自社開発製品による事業拡大も進め、油中粒子計測器「PI-1000」は新たなビジネスモデルとして期待している。機械の摺動部における潤滑油中の摩耗紛の大きさや個数を高精度に測定することで予知保全につなげることができ、さまざまなインフラでの活用が見込まれる。
2025年は、技術商社としての提案力とメーカーとしての開発力を併せ持つ計測ソリューションプロバイダーという独自のビジネスモデルの優位性を活かしていく。