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【2025年FA市場はどうなる?どうする?】オータックス 富田 周敬氏「ものづくりの下支え姿勢強化」

オータックス 富田 周敬 代表取締役社長兼CEO

2025年3月期の売り上げは、前年度比横ばいの100億円を見込んでいる。

今年度は、ものづくりの再構築にむけて、生産工場の再編とM&Aを進めた。M&Aでは、24年3月に松久のDIPスイッチ事業を、8月に佐鳥電機のトリガースイッチ事業を譲受した。また、25年10月にはパトライトの春日端子台事業を譲受する予定で、現在準備を進めている。すでにパトライトの辰野工場(長野県)での端子台生産で連携して取り組んでおり、当社タイ工場とも生産をリンクしていく。将来的には辰野工場で国内市場向けのDIPスイッチ生産なども検討していく。同時に、春日端子台の販売では、当社の今までの販売ルートとは異なる電材商社を活用した展開も行っていく計画だ。生産では中国・深圳工場の移転を検討中だ。現工場近くに現在の場所より条件の良い適地が見つかったことから、現状設備の移設を順次行い生産を開始する。タイ工場も端子台に加え、DIPスイッチの生産を始めており、メッキラインも設ける予定で、中国・鶴山工場と合わせた生産を進める。

 26年に設立50周年を迎えるが、25年4月から中期3カ年計画をスタートする予定で、現在内容を詰めている。人件費の上昇や高齢化の進展で人手不足が続いており、さらに円安など為替の問題もあり、ものづくりを取り巻く環境はますます厳しくなっている。大手メーカーを中心に撤退や生産中止が増えており、供給停止でいままで使っていたお客さんが困るケースが増えている。とくに社会インフラ系向けの製品は長期間使用されることが多く深刻になっている。こうしたお客さんを助ける意味でも、当社ではブランドを問わずものづくりを応援する姿勢をさらに強め、M&AやOEM生産などにチャレンジし、大手が止めた事業を継続することで産業の下支えをしていく。現在有する東南アジアでの生産ネットワークを駆使して競争力を発揮していきたい。

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