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【パトライト】「継承と進化」で着実に前進 コンポーネンツ事業のさらなる強化と、ソリューション・海外事業で成長へ

積層信号灯や回転灯で圧倒的なシェアを持ち、そのブランド力の強さから広く社名が認識されているパトライト。そのままでも強い機器・コンポーネンツ事業とコアとなる報知技術を活かし、新たな領域へのビジネス展開を図っています。今後の見通しと戦略について、2023年6月に新たに代表取締役社長に就任した山田 裕稔 氏に話を聞きました。

「継承と進化」当面は現在の路線を継続・強化

ーー新社長としてこれからの戦略は?

「継承と進化」をテーマとし、はじめはこれまで築き上げた戦略を継承し、2年後を目途に進化へとフェーズを移していく計画です。いま実行していることは、もともとは高野前社長と一緒に私も取り組んできたこと。現在進行中のプロジェクトもあるので、2・3年は継承がメインになると思います。

532プロジェクトで機器の利益率を改善

ーー継承する中身は?

既存領域と成長領域の両方の強化を進めていきます。

既存領域は、積層信号灯や回転灯など、業界内シェアも高く、利益の厳源泉となっている機器・コンポーネンツ事業の強化で、中期経営計画のなかで掲げている「532プロジェクト」を継続して進めます。

532プロジェクトは、特注対応などで増えてしまった機種構成と設計を見直して、部品の共通化などで利益の出る製品にしようというプロジェクトで、原価5割、経費3割、利益率2割の原価体質を目指しています。すでに主力製品のシグナルタワーと回転灯の設計は完了済みで、今は音・音声製品とLED照明の532化に取り組み、2年以内に完成するように進めているところです。進化フェーズに入るのは2年先を見込んでいると言いましたが、532プロジェクト完了があと2年程度かかるというのがその理由です。

パートナー連携強化でソリューション事業を拡大

ーー成長領域は?

これまでの計画通り、ソリューション事業と海外事業に引き続き取り組んでいきます。

ソリューション事業はパートナー連携を強化し、パートナー企業が展開するソリューションに当社の製品を組み込んでもらえるよう訴求活動をしています。

当社の強みは70%のシェアを持つコンポーネンツ製品であり、そこで得た「パトライト」ブランドにあります。実際にシグナルタワー、回転灯は圧倒的に高い認知度を持っています。しかしそれ以外の製品、例えばネットワーク製品の認知度は低く、単体での拡販は難しい状況にあります。圧倒的な認知度は強みになる一方で固定概念となって弱みにもなります。

そのため当社のソリューション事業は、ソリューションに欠かせないコンポーネンツを提供する「ソリューション”コンポーネンツ”プロバイダー」という立ち位置で、パートナーとのエコシステムのなかで当社製品を広く展開できるように進めています。

もともと当社は表示灯で目・視覚に対する報知からはじまり、音声・聴覚が加わって目と耳に対する報知へ広がり、今では通信が融合することでより付加価値の高い報知を提供することが可能になっています。引き続き報知をネットワーク化するアイテムの数を増やし、SIer、ソフトウェアベンダーなどのパートナー企業とのコラボレーションを強化し、彼らのソリューション実現に向けた貢献を加速していきます。

海外事業はインドに注目 拠点設立の計画も

ーー海外事業については?

海外事業は、直近ではインドに注目しています。インドは日系企業も多く進出し、チャイナプラスワンの投資先としても重要視しています。2年以内にインドでの拠点開設も検討しています。

継続がひと段落した後は進化・挑戦の時代へ

ーー継続の2年間の次の進化の時代について

いまは具体的に言えることはありませんが、既存領域と成長領域に加えて「挑戦領域」に取り組んでいきたいと思っています。私はキャリアを通じて守りよりも攻めの営業をずっとやってきたこともあり、挑戦は続けていきたいと思います。

当社は、世界中に「安心・安全・楽々」を届ける会社であり、そこはブレずに進めていく。報知というコア技術を活かしたなかでの新事業はまだたくさんあります。まずは足元の会社を筋肉質にした上で、その次に向けて変化させていこうと思っています。

https://www.patlite.co.jp/